1/1. 息を吐くように、幸せな夢を欲しがった。 (探偵)(羊の観る夢は) それは残酷な嘘だった。たった一度の些細なミスで君の命を奪おうとした。エル、あなたに庇われてしまって、もう私は何もできない。 「私のせいです」 そんなに脆くみえただろうか。銃声が撃ち抜いたのは決して私の心などではなく、それは、それは間違いなく君の一部だった。 「もう少しはやく辿り着いていれば、あるいは」 あるいはなんだっていうの。慰めの言葉が滑り落ちていく。私という人間はあなたが思っているよりもずっと、冷たく頑なで驚くほどに身勝手だった。 「あるいは彼も意識を」 「帰る」 真っ白な部屋に響く規則的な音からも、私を甘やかすエルの言葉からも逃げ出したかった。 でも、どこにいけばいいの? 「いえ、私が帰ります」 溜め息が漏れる。いつだってあなたは不器用だ。特に引き留めることもなく、諦めにも似た気持ちをもって椅子に座り直した。 「……………」 白は、君の色だったね。 「………………………」 沈黙は、君の特技だったね。 「………………」 眠るのは、私の方が得意だったのに。 「…………………………………」 規則的な音は耳に残る記憶を引き戻す。君も、逝ってしまうの? 制止も聞かずに乗り込んだ。銃声は高らかだった。犯罪者は勝ち誇った。私に向けられた、銃口。君の色が染まっていく。 ありきたりだろうか。わかっている。いや、わかっていたかった。でも君と彼は優秀過ぎて。私は、 「…………」 せめて、目覚めるまでの君の夢が幸せなものであるように、祈ることしかできなかった。 [select] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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